
ときどき
金縛りに
あうし、
あ、
コレ
人じゃない
なんて思う
なにかを
見ることは
あるし、
うちの犬はわりとなにもないところを
ずっと見たりするたちなので
目に見えないものを見てるのだろうなと
思うことはままある
亡くなった父が来ているのかと
思う瞬間もある
犬が意味もなく喜んでいる時などは
自分の住んでいるところから近い
バンサーには一家惨殺があってから
幽霊が出るという噂の屋敷がある
そういうところに行きたがる若者
がいるあたり、日本もマレーシアも
さほど変わりはないようだ
自分の住んでいるコンドミニアムは
建設されてから30年ほどがたっている
古い場所で、いろいろ設備は不便だが、
五棟もある規模の多いところで
開発が進んでいる地区ということもあって
幽霊屋敷にもならずに人で賑わっている
自分は古い建物が好きで、
古い家具を塩などで清めては使うほどの
古い物好きだが、石と本はあまり
人の手に渡ったものを持たない方
がいいだろうなと思っている
河原で石を拾うなどは絶対しない方がいい
ある日、山に犬と登った時
犬がしきりに茂みのそばのなにかを
気にしている
ヘビだったら嫌なので犬のリードを
引いたが、意外に好意的に尻尾まで
振ってるので嫌な予感がした
案の定、
なにかいつもと違う感覚があって
犬以外の何かも連れて来てしまった
それだけでなく、なにかそれとは
別の何かを感じるので
家に塩を盛ろうとしたが、
残念ながら日本の粗塩はなく酒もない
仕方なくスーパーで買った
ヒマラヤンソルトを家のあちこちに盛って
代用したところ、少し違和感が消えた
ところがその晩、寝付いてから
ふと目を覚ますと
寝室の窓のあたりになにかがいる
その窓は小さかったのでそのそばに
塩を盛るのを忘れていて、
しまった!と思ったがもう金縛りが
来ていてどうにもしようがない
思わず傍にある犬を、意識したところ、
自分のただならぬ様子を怪訝そうに
見ているようだったので
思わず、心の中で毒づいた
元はと言えば、
アンタが連れて来たんだから、
なんとかせんかい!
その途端、うちの犬はよほどのことがないと
吠えたり、怒ったりしないのだが
いきなり窓に向かって
ウウ!ウォン‼︎
と一喝してみせたのだ
その途端、人のような何かが消え
金縛りが解けた
犬を見やると、誇らしげな顔をしていたので
冗談じゃないよ、アンタ
と思わず苦笑する飼い主だった
犬は犬なりに何かあったようで
その日以来、鏡を絶対に見ようとしない
見せても嫌がって
顔を背けるようになった
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