松本清張記念館@小倉


この度日本に

帰国が福岡便

で決まったとき

小倉に滞在しよう

と楽しみにしていた

 

その際はきっと

松本清張記念館に

立ち寄ると決めていて

小倉での一大イベントに

なりつつあった

 

実際行ってみると

小倉城の麓の日本庭園の一角にあって

素晴らしいロケーションに思わず心が弾む

 

 

もとより日本の道路の綺麗さや

空気のきれいさに感心するほどなのだから

川べりなどを歩き回るだけで満足

 

秋の青い空が晴れ晴れと心地よい中

小倉駅から徒歩で出向いていく

 

 

土曜日の午後だったが、人もさほど多くなく

いずれも観光客といった賑やかな

グループばかりだった

 

 

松本清張の歴史を記す年表が

長い部屋の壁に延々と記されていて

歩きながら読み進むのだが

 

「この人の歴史って私達と重なるだけに

なんだか興味深いわあ!」

といっている70代と思しき女性グループ

が印象的だった

 

そしてその一方、外国から観光できたと

思しき男性の二人連れが静かに

額を寄せて年表の説明を中国語で

話し合っている姿も見られた

 

彼らの話す内容と清張の海外への関心や

渡航歴、自分が海外から戻ってきたこと

と相まって、なにか不思議な感覚に陥った

 

 

マレーシアに行く前と後とでは

いろんなことが自分に関係あると

感じられることが増えて来ている

 

中国語圏から訪れて日本の作家に

思いを馳せる外国人も私と何ら

変わりがない気がして、とても身近に思えた

 

 

その反面、清張の書斎を再現した部屋

を覗いたとき、自分の中に蘇ったのが

小さな部屋の中でうずくまって

松本清張の小説を読み耽る自分だった

 

自分はなんと小学生の頃から

父の書棚にあった松本清張の小説を

片端から読んでいたのだが

もともと勉強しているふりをするための

時間つぶしとして両親への反感で

読み出したのが始まりだった

 

なんという暗い小学生だろうか

 

しかし、清張の書斎は昭和の日本の部屋

そのもので、うちの父親の書棚や

黒い革のソファの冷たい肌触りや

重い空気感を如実に再現していて

胸が詰まるようだった

 

 

しかし、そこにはなんとも言えない

ノスタルジーもあって、

清張記念館で思いがけなく

別の感動を覚えるのだった

 

 

清張の作品が発表された当初の

カッパノベルズのカラー表紙の展示されている壁は

40年前の自分を思い出させるのに十分で

 

今はいない父のことや、勉強ばかりしていて

面白みのないクソガキだった自分のことを

切なく思い出しては揺すぶられるのだった

 

Martha Kobayashi


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管理人について

小林雅(まさ)
1967年12月生まれ。
日本人女性
独身
家族:おばあちゃん犬、ダコタ
呼び名:Martha
趣味:ヨガ、ハイキング、スノボ

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