
ガンが見つかって
1ヶ月くらいした頃
私は所属する会社に
今一度在宅勤務
希望を申し出た
実は一度
却下されて
断念したばかり
だったが
これが
受け入れられ
なければ
他の会社に移ってでも
在宅勤務でいられる方を
優先しようと思っていた
この希望は当時の感染拡大の状況
とたまたま合致したのか
私の希望は認められ
在宅で勤務が開始になった
在宅の良いところは
少しでも長く時間を犬に割けること
何度かに分けて
投薬や食事をしてやれること
犬の状況によっては
終業後速やかに
病院に行って連れて行ける
などの利点があった
その時食事がわりにやっていた
サプリメントコルディも
1日2回では無く
同じ量をやるのでも
できるだけ回数を増やして
与えてやる方が効果が高い
ということもあって
シリンジでとにかくこまめに
口に運んでやった
そして朝夕の散歩も
できるだけ体の負担にならないように
回数を増やして
短時間で連れ出してやれるようにした
とにかくこれらを可能にしたのが
在宅勤務だったのである

部屋の片隅の小さなステーション
しかし犬は1日よく食べる
日があると思うと
翌日は食べられなくなったり
1歩進んで一歩下がる
と言った状態が続いた
もう少し歩けるようにならないかな
毎日食べられるようにならないかな
ドッグカフェに行っても
疲れなくならないかな・・・
願いは尽きなかったが、
こうした願いは一つずつ自分の中で
減ってきているような気がした
そして、
「この願いがすべて
叶えられなくなったときが
お別れなんだな」
と漠然と考え始めたのが
ガンが見つかって2ヶ月目だった
この頃は空中庭園に連れ出しては
リクライニングチェアで
お腹の上に犬を乗せて
いつまでもいつまでも
夜空を見ていた

夕暮れ時の過ごしやすい時間帯はよくプールサイドに行った
私も犬も疲れることなく
互いに一番近い状態でいられる
唯一の方法だった
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