犬にガンが見つかる21@マレーシア


食欲が

ものすごく

あるかと

思えば

翌日は

食べられず

 

ということを

繰り返していた

日々、

 

とうとう恐れていた事が

起こった

 

犬が動けなくなったのだ

 

それまでかろうじて

歩いていたのが

突然立ち上がれなくなった

 

お気に入りのシャーリングの布団で眠る

 

それでもそれを

認めたくなかった自分は

 

今だけだよ、きっと回復したら

歩けるようになるよ

 

そう思っていた

 

フローリングの床はツルツルと

滑りやすいし、

立ち上がりにくいけど

なんとか工夫しようね

 

そんなふうに言いながら

私は現実を観ないようにしていた

 

腫瘍が破裂した直後はまだ外に連れ出せていた

 

彼女が床をバタバタと

一生懸命もがいているのを

爪音をかちゃかちゃと立てて

いるのを聞きながら

 

步く練習をしているんだ

とか、あり得ないのだけれど

本気で周囲の人に話していた

 

この頃、私の脳みそは

痛みや苦痛を避けようと

麻痺していたように思う

 

そして、あれだけ律儀に

トイレをきちんとこなしていた犬が

 

下痢でもなんでもない

状態のいいウンチを

玄関先でしていたのを

後から見つけた時も

むしろショックではなく

 

「いいんだよ、好きな時に

好きなようにしていいんだよ

お利口さん!」

と笑って褒めては始末していた

 

彼女のためにしてやれる事が

まだ残っている事が嬉しかった

 

彼女はこの頃から抱き起こされたり

体に触れられるのを

極端に嫌がるようになっていた

 

助けてやりたいのに、

撫でさすってやりたいのに

触れることのできない現実は

最も悲しい拒絶の繰り返しだった

 

 

でもこれはまだ幸せな方だった

 

ガンが発見されて2ヶ月、

私はまだ夢を見ていたんだなと

今も思う

 

一つずつ望みが叶わなくなって

夢が一つもなくなったとき

サヨナラの時が来る

 

その現実が迫っていた

 

 

Martha Kobayashi


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管理人について

小林雅(まさ)
1967年12月生まれ。
日本人女性
独身
家族:おばあちゃん犬、ダコタ
呼び名:Martha
趣味:ヨガ、ハイキング、スノボ

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