
その夜明け
私は新しく
通い始めた
医師に
相談する
こともなく
以前の獣医
である
インド系の
親父に
Whatsappで
連絡を取った
悪いのだけど
明日安楽死をお願いしたい
それだけ書くと
時期彼の方からは
了解と返事がきた
なるべく早い時間に
頼みたいけれど
何時にお願いできる?
と聞いたところ
午後3時が良いという
ではそれでおねがいします
そう答えた
なぜ転院して、以前の医師に
安楽死を頼むのか
自分でも不思議だった
しかし、何度も通わせてもらって
彼女の調子の悪いのを
何度も治してもらって
最後には全くお互いが
理解できなくなっていたけれど
それでも、最後を見てもらうに
ふさわしいのはこの医師では
ないかと思っていた
彼が私たちに何もしてやれないと考え
多少投げやりになっていたように
私もまた死に逝く犬に
何もしてやれないという判断をした
その判断で、大切な愛犬の最後を
締めくくって欲しいというのが
自分の最後の決断だった
モルヒネはあるし
最後の日くらいは苦しまずに
済むのではと思っていたが
残念なことにモルヒネは
効くこともなく
彼女は泣き叫んで悶えていた
本当に申し訳ないけれど
明日の安楽死は時間を早めて欲しい
彼に再度お願いした
「明日の午前は手術があるんだ」
そう答えたが彼は何時ならいいんだ
と尋ねてくれた

こんなふうになる前もヨガに行って平常心をキープしようとしていたときはまだ良かった
できるだけ早く
この子が苦しむ時間を
短くできるように
そう答え、朝の11時に時間を
決めてくれた
夜、同じベッドに横たえながら
今日が最後、今夜が最後と考えながら
あんなに楽しかったのに
一緒にいてあんなに幸せだったのに
最後はこんなに悲しいものなのか
そう思った
でも不思議と神様なんていないなどと
ことあるごとに思っていたことを
感じずに済んでいた
それは絶え間なく彼女が苦しがるから
そんな最後に自分でタイミングを図って
決着がつけられる状況に
感謝していたからに他ならなかった
「こんな苦しいのも明日で最後だよ」
何度も彼女に伝えたけれど
彼女には届いていなかった気がする
こんなに苦しんでいるのだもの
毎日毎日、何に対してでもなく
もう少し側にいさせてくださいと
祈るように呟いていたはずなのに
自分から別れを決断
しないといけないなんて
世の中にこれほど辛い事があるのかと
その夜思った
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