
唯一頼りに
していた
クリニックの
医師が
頼みに
できないことを
知ったときの
自分の
落胆を
何と
表現すれば
いいのだろう
しかしここが日本人の悲しさで
「大丈夫だよ、何とかする。
ありがとうございます。
叔母様のこと、お悔やみ申し上げます」
と返信してしまった
しかしこの後、
以前かかっていたクリニックや
癌の診察をした病院に連絡を取り
片端からお願いしたのだが、どの機関も
「紹介状がないと薬は出せない」
「あなたの来れる時間帯には
担当医がいない」
など、全く非協力的なのである
こういう時家族がいれば
それぞれの都合に折り合いをつけて
何とか向こうの都合に合わせて
来院したりできるのだろうが
自分は独り身で、
仕事も恐ろしくたて込んでいて
まったく身動きが取れなかった

これが夢にまで見た抗生剤Curam
そして、以前一度だけメールで
問い合わせをしたクリニックに
Curamが欲しいがあるかと
電話で聞いたところ、
ある、渡せるというので
ようやくの想いでGrabで来院する
しかし、到着し事情を話したところ
電話では了承を得ていたのに
「レターがなければ薬は出せない」
とお決まりの回答が来たのである
私はいまだにこの時のことを
情けなく思い出すのだが
このクリニックの窓口で
思わず号泣してしまった
十五歳の老犬が食事もろくにできずに
すでに1週間は薬も処置もなく
苦しんでいること、
癌の疑いがあるが炎症を抑えるために
抗生剤がまず必要なこと
一度は抗生剤を使い始め、自分の犬に
非常に効果があることを知っているが
どこも薬を出してくれなかったこと
それを一度に辿々しい英語で
伝えるうちにマスクが
ずぶぬれになるほどの涙が
溢れてきてしまうのを
止めることなどできなかった
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