
犬は
検査が
終わった後も
傷が癒えず
抗生剤や
痛み止めが
欠かせない
日々を
送っていた
自分としては
前回の検査が結果も曖昧で、
腫瘍の中心の細胞を
採取できていなかったことが
検査機関から指摘されていたこともあり
医師に念押しをしたのだったが
そのことで余計に
犬を傷つけてしまうことになった
犬は食物がうまく飲み下せず
痛みが伴うため食欲が出ない状態だった
検査の結果には2週間が必要で
どうしてそんなにかかるのです?
と疑問をぶつける私に
医師は「人間の検査機関しか
この国にはないからです。
海外の機関に依頼しています」
と誇らしげにいうのだった
一刻も飼い犬を楽にしたい、
治療を始めたいと思っている飼い主の
意思などそこでは微塵も
理解されないのである
CTスキャンは決して安価ではなく
それなりに敏速に結果を出して
もらえると思っていた自分としては
衝撃でしかなかった
その間に犬は弱ってゆくので
ホームドクターである
インド系の獣医に相談するが
彼もまた私の決断に腹を立てていた
「そんな検査に大枚を叩いたところで
わかるのは当たり前のことだけだ
君のダコタが癌を患っていることは
明白で、それを知るために
時間とお金をかけて彼女の体に
不要な傷をつけてどうするのだ」
そういって私を二重に苦しめた
彼が犬を大切に思ってくれて
いるからこその言葉だと
わかっているだけに
この叱責は辛かった
友人の中にも
「CTスキャンでそんなに
お金を取るなんて
あなたは騙されている」
などと言っては
こちらがやめてくれと言っても
延々と説教し
こちらの気持ちを
逆撫でする人もいた
そういう人とはこの機会に
距離を置くことになったし
様々なことで、周囲の人の
ありがたみや逆に妬みや謗りを
受け、その人の真価が
見えてくる点もあったが
私の中には
どうしたら、犬のダコタの食欲を
快復させ、少しでもそばにいてやれる
時間を作れるか
そのことしかなかった
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