
みんなが
その子を
この一週間ほど
探していた
その子は
痩せた
おばあちゃん猫だ
モモちゃんを
見ませんでしたか
互いに声を掛け合って探していたが、
カフェの店長でバリスタのダニエルが
亡くなったモモちゃんの亡骸を見つけた
いつも同じところに眠っている彼女を
目にするだけでこんなに安心感が
あったのか
そう気づくほど、ももちゃんがいなくなって
ぽかんと空いた空虚な感覚は
カフェの常連みんなが共通して感じていた
大の大人の男性も寂しいね
会いたいなと素直に言い合える
この国の健全さにも気付かされた
ただそこにいるだけでなく、
彼女は手を述べると心を許して
撫でられるに任せている愛らしさがあった
いつも犬を連れている自分は初め
彼女をひどく警戒させたけれど
じき心を許してくれるようになった
ああ、なにか美味しいものでも
食べさせてあげればよかったな
なにかできることがいっぱい
あったように思うのに
なんにもできなかったような気がする
こういう後悔をもうしなくて済むように
しよう!と思ったことは
すぐに実行に移すべきなんだと
痩せたおばあちゃん猫が教えてくれた
ああ、それにしても寂しい
もう一度目を細める
あの気持ちいい顔を見ながら
撫でたりかいかいしてあげたいなあ
飼い猫でなくても
みんなに愛されてちっとも寂しくなかった
猫のモモちゃんに教わることは
本当にたくさんあった
さよなら、
ももちゃん
本当にありがとうね
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