この一番
課題の多い
時期に
私たちは
引越しという
大きな
イベントを
余儀なく
されていた
上階の
インド系の家族が
二人の男の子を抱える
賑やかな家庭で、
四六時中大きな音を立てるのに
辟易していたのである
3ベッドルームもある家に
住んでいるのだから
部屋を移動すれば凌げる
のではと思っていたが
子供のみならずその両親も
足音や生活音が大きな人たちであった
おそらくそう言ったストレスが
犬にも影響したのだと思うのだが
限界を超えた自分が不動産のエージェントに
別の部屋を見せてくれと頼んだ時、
彼はその状況に同情して
大家にうまく話を持っていって
くれたらしかった
本来返ってこないはずのデポジットは
ありえない寛大な配慮で
返ってくることになり、
そのために一刻も早く
彼らが損をしないように
部屋を売りに出したり貸し出せるように
内見会に協力することになった
しかし日本人のテナントの強みを
利用したその作戦が功を奏してか
たった三度の内見で
その部屋は買い手がついた

今でも気に入っていた部屋だし、離れ難かった。
そしてその内見の後も
「あなたのインテリアが気に入ったので
家具などを売ってもらえないか」
と依頼を受けることすらあった
そんなバタバタの日々の間、
犬はプロバイオティクスや
ケフィアヨーグルト、
医師の勧める緑豆の煮たもの
などをあてがわれてはいたが
中々状況を変えることはできなかった
不思議なことに、犬は
トマトを食べたがったりして
床に腫瘍を押し当てて冷やしては
やり過ごしているようだった
この頃を思い出すと
胸が苦しくなるような気持ちになり、
今でもその頃の閉塞感にも似た気持ちを
感じ、やりきれなくなる
その後、ようやく消炎剤と抗生剤で
犬が回復し始めても
しばらく食餌をしたり
しなかったりが続くのだった
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